一般社団法人日本産業コーチ協会設立趣意
現在、ジェンダーギャップや障がい者・人種に関わる差別に対する世界的な問題意識から、公平性をもって多様性を包括する社会的な流れが、国際社会や日本社会に広がっています。また、地球温暖化への問題意識や日本の労働者数減少の課題意識も伴い、経済や働き方の面で、絶えず新しい価値観にもとづく変化が求められています。
その一方で、現在の労働の課題においては、職場のストレスや人間関係の問題が、精神衛生上の課題となって表れています。これは、社会を構成する人々が、独自の感性を活かして、多様な他者と協働し、新たな価値を創造していくことに対し障壁となります。
違いを前提とした他者理解から、建設的に対人関係を形成するため、また、自身を社会に活かすためにも、自身の存在を自然と認められる自尊心が土台となります。このような自尊心の特徴を持つ人格を「自分らしいパーソナリティ」と呼びますが、自身の存在を自然と認められるような発達をするには、ひとの多様性を受け入れ、目の前の個人を尊重して関わる受容的他者の存在が、必要不可欠とされています。
しかしながら、このような関わりを提供する専門職はなく、メンタルヘルスの治療・改善を目的にデザインされた関係性の提供にとどまっています。
このことから、自分らしいパーソナリティの発達に貢献するような、メンタルヘルスケアを越えた社会的心理支援の拡充が、共創社会の促進に大きな役割を果たすと考えています。
以上を踏まえ、一般社団法人日本産業コーチ協会は、「自分らしいパーソナリティの発達」を関係性によって支援する専門的な人材を養成し、広く一般に個の尊厳を重んじる質の良い支援が円滑に提供されることを、社会的責任として果たしてまいります。
この活動を組織的に行い、ひとを問題とせず社会を問題とし、多様な人々が尊厳を相互承認できる対人関係の構築によって、一人一人が独自の感性を社会に活かしやすくなり、また、協同的なイノベーションが生まれやすくなることで、社会生活の課題や環境面の課題を創造的に解決していける共創社会の実現に寄与します。
2023年1月吉日
代表理事 俊山 英