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日本産業コーチ協会広報

2023/10/01 産業コーチ資格制度化の趣旨




産業コーチ資格制度化の趣旨



自分らしさともいえる自己価値の形成には、重要な他者との関係性、特に受容的関わりが不可欠だと考えられています。この受容的他者との関係性を通して、自身の社会的認識を構成する自己概念が、自身の価値を認めた内容に再編成されていくことで、日常の社会生活において、より柔軟に自己を発現していくことにつながっていきます。

また、自分らしくいられているという感覚のことを本来感といいますが、これも受容的他者との関わりによって向上します。

この本来感を向上させていくことは、生きづらさの解消のみならず、活躍のしやすさにも関係していることが示唆されているため、本来感を高めていくことは、多くの社会人にとって大切になるといえます。


上記のことから、生きやすく活躍しやすいパーソナリティの発達は、望めば得られるような機会提供がなされることが重要といえます。

受容的な他者との交流によって、パーソナリティの成長を支援するカウンセリングアプローチに、パーソンセンタードアプローチがあります。これは、支援者が精神医学的知識や心理検査などの外的基準からの理解をするのではなく、本人が経験している現実に対して理解をすすめ、肯定的に関わっていくことで、感覚に信頼をおけるようになっていく支援です。提唱者のカール・ロジャーズは、ひとが持つ成長傾向を頼る支援を応用して、コミュニティの課題解決やリーダーシップ向上、対人関係の改善などへの適用を打ち出しました。しかしながら、日本ではメンタルヘルスの文脈で定着し、ケアの実践にとどまっています。

さらに、パーソンセンタードアプローチの影響を受けて誕生したコーチングは、コミュニケーション技法や目標達成の手法という認識が広まっていることと、パーソンセンタードアプローチの理論がコーチ養成課程で教えられていないことなどについて、学術的に批判がなされています。


そこで、一般社団法人日本産業コーチ協会は、コーチングの原点回帰と再編成によって、パーソンセンタードアプローチの本質を再興させることで、コーチングの専門性を図り、真に個人を尊重する立場を確立し、「パーソナリティ発達支援の専門家」としての産業コーチを制度化しました。


以上のことから、コーチングセッションの関係性によって、自分らしい発達の機会提供を行う支援実践を、産業コーチの社会的責務として、その役割を担います。


産業コーチは、この支援実践の立場にもとづき、社会を構成する多様な人々がより自分らしくなることに寄与することで、あらゆる関係性の中で個と個が柔軟に主体性を発揮して、社会課題の解決や、新たな価値創造が自然に促進される建設的かつ生産的な社会の実現を目指します。




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