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  • 代表理事 俊山英

2023/10/01 代表挨拶





代表挨拶



昨今、著しい気候変動や人の尊厳のあり方・技術革新を含む国際社会の動向、また、日本の人口減少の問題によって、日本社会は新時代への適応が必要となっています。

日本が抱える人口減少の問題は、労働者数が減少することによる人手不足の課題の他に、退職する高齢者の増加に伴う医療費・年金をはじめとした社会保障制度の問題があります。そのための効果的な対策として、大規模に移民を受け入れることが挙げられますが、ここでも価値観の変化による適応が必須となります。


そもそも適応とは、遺伝的発現の多様性をもつ一人一人が、独自の感覚を軸に環境についての理解を作り、それを目の前の現実に対する新たな認識づくりに応用していくことで、感覚を伴った行動選択がなされることを指します。つまり、個人がより良く生きていくために、社会を含む環境との関わり方を身につけていくことに他なりません。

社会的関わりが、その個人の感性を虐げるものであれば、その関わりに適応していくことで精神疾患とみなされる状態にもなり得ます。最近になって、障害の原因として個人を問題だと見なす「医療モデル」が人権擁護の観点から否定され、障害は社会的に作られるという「社会モデル」にもとづく価値観の変化が、国連や日本の法律、そして精神医療のあり方等にも波及しています。

社会モデルは、人種差別・障害者差別、ジェンダーギャップの解消を図るモデルでもあります。そして、この社会モデルに受け入れられている心理支援に、パーソンセンタードアプローチがあります。これは、受容的他者との関係で、個人の感覚が社会的に受け入れられることで、自身についての理解も感覚を受け入れたものとなり、自身を含む環境についての理解の集合とされる自己構造が、「自分らしいパーソナリティ」に変容していくというアプローチです。自身を認めた理解を応用して、社会適応するため、オープンに自身を活かしやすくなり、柔軟に他者や社会について関係性を構築することがしやすくなると言われ、初期のコーチングのもとになったとされるアプローチでもあります。


こうした支援が世の中に広まることで、社会を構成する多様な個人が社会に活かされやすくなるのであれば、独自の視点による発想が、他者とのつながりによって価値創造となり、新しいイノベーションも生まれていきます。

経済の観点では、国の経済成長は人口の増減よりも、新しいモノやサービスが生まれることで発展するといわれています。

つまり、多様な個を包括的に活かせるようになると、個と社会のより良い循環が生まれ続けるといえます。

このために、私たち一般社団法人日本産業コーチ協会は、多様な人々が自身を活かしやすくなるよう「自分らしいパーソナリティ」の発達の支援を、広く一般に拡充してまいります。


このメンタルヘルスケアを越えた社会的心理支援により、自身の感性を受け入れていくことによって、社会に感性を活かしやすくなるばかりではなく、自身の感性を受け入れた分、柔軟に他者理解がしやすくなり、対人関係の構築が円滑になることで、多様な人々による共創が促進されると考えております。


近年の2040年問題に対する意識の高まりから、社会適応や他者理解が柔軟に求められるような新しい変化が、次々に起こることが予想されます。それは、革新的な技術や制度の導入、また、大規模な移民流入が進むことも含まれます。こうした変化に柔軟に適応しながらもそれぞれがその機会を活用し、それが多くの方々にとってより良い変化となることを期待すると、遅くとも2037年までに、上述した共創社会実現の準備を整えておく必要があります。

そこで、一般社団法人日本産業コーチ協会の取り組みとして、いくつかの目標を立てることにいたしました。

第一に、2032年から2037年の5年間で、継続して年間500万名以上の方々に「自分らしいパーソナリティ」の発達を支援する産業コーチングをご提供するとともに、ニューロダイバーシティの観点から、人の多様性間において個人を取り巻く社会的な課題解決のニーズに対し、それらを解決・解消する「自分らしいアイデンティティーの形成・発達」を目指した支援を行う産業ソーシャルコーチングをご提供することを、目標といたしました。

この目標を実現させるため、2030年までに、産業コーチと産業ソーシャルコーチを合計2万5,000人以上養成いたします。

併せて、産業コーチ・産業ソーシャルコーチを雇用する職業領域として、2030年までに、産業コーチングセンターを九州と関東圏を中心に約12箇所開設する予定です。

また、日本の社会・経済は、日本だけで成り立っていないことを重要視し、世界各国に産業コーチ協会の支部を設立して世界的に産業コーチングを提供いたします。具体的には、2029年までにオーストラリア・台湾・カナダ・シンガポール・イギリス・アメリカの6ヶ国に支部を設立する計画です。これによって、日本発の国際資格として産業コーチを広めると同時に、職業領域を増やしていくことで、民間レベルの共創が、世界規模で促進されるよう支援を拡充してまいります。

そして、産業コーチングや産業ソーシャルコーチングの効果をより高めることや、養成の質を向上させていくことなどを目的に、多角的な研究と議論を活発に行うコミュニティとして、産業コーチング研究会を立ち上げます。その後、条件を満たしたうえで日本学術会議から協力学術研究団体の認定を受け、「日本産業コーチング学会」を2028年までに設立することを達成目標とします。

このように、目標を一つ一つ実現していくにあたり、そのプロセスでは、多くの課題も表れてくることと思います。ご賛同くださる方や企業団体様から、ご尽力賜りながら邁進していきたいと存じます。何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。


2023年10月吉日

代表理事 俊山 英






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