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産業コーチングとは?

01.産業コーチングの定義

 問題としていたことを建設的に解決していけるような認知・行動変容に至ったり、より自己を現実に活かせるようなパーソナリティの発達をすすめることを目標とするパーソナリティコーチング及び社会的心理支援のこと。 

 クライエントが、受容的他者である産業コーチを認識しながら内省を行なっていくことで、防衛的反応の減少を図り、とらわれのない自由な洞察や発想による心理的葛藤の解消や、自己構造の発達を促進する。

02.産業コーチとは?

 産業コーチとは、パーソンセンタード・アプローチに基本的に依拠する「パーソナリティ発達支援の専門家」であり、自分らしさとも言い換えられる生きやすい・活躍しやすいパーソナリティ発達の増進を目指す支援のなかで、関係性による発達の機会提供を行います。最低でも約1年間の訓練が必要となる資格です。

 産業コーチは、個人の発達(成長)・心理的葛藤の解消を支援する実践的立場に基づき、社会を構成する多様な人々がより自分らしくなることに寄与します。

 そして、あらゆる関係性の中で個と個が柔軟に主体性を発揮することによって、社会課題の解決や、新たな価値創造が自然に促進される建設的かつ生産的な社会の実現を目指します。

 これを産業コーチの社会的役割とし、社会福祉と経済の増進に貢献してまいります。

03.産業コーチングの対象は?

 従来の心理支援が「心の問題」「心の健康」といった病理を軸にしていたのに対し、産業コーチングでは「目の前のクライエント」を軸として包括的に把握します。

 そして、その個人の状況からどのような状況を目指すのかといったご要望の内容や、支援の中で捉え直した目標に、どれだけ一致していけるかを心の発達を通して支援してまいります。

 また、心の問題や発達障害を診断されたクライエントであっても、ご本人がパーソナリティ発達を望み、支援を希望する場合は、憲法第13条に基づいた自己決定権の尊重の観点から、産業コーチングの対象に含まれることになります。

04.産業コーチのHRDへの関わり

 HRD(Human Resource Development :人材発達) は、「人材育成」と「人材開発」に分類することができます。

 「人材育成」は、人間的成長を促す教育学的立場から、HRDを個人の発達の観点で捉え、自由さと内省作用を兼ね備えた主体性や学習を重視し、内発的動機づけが強調されます。

 「人材開発」は、組織優位のための「能力開発」をHRDの主な観点とすることが多く、組織への順応さや成果を重視し、仕組みや外在的動機づけが強調されます。

 現在、これらの異なる観点の統合が求められています。

 産業コーチングでは、「人材育成」の領域に立ちながらも、組織を個が活躍するための関係性の場の一つと捉え、あらゆる関係性の中で個と個が柔軟に主体性を発揮することによって、課題解決を図ったり、新たな価値創造が自然に促進される組織や社会の実現を目指してまいります。

05.コーチング領域における産業コーチング

〈コーチングの分類〉

  • 「パーソナルコーチング」

個人を対象として、コーチングのサービス提供を職業として行うコーチが、人生全体を視野に入れながら、様々な要素が絡み合う相談内容を扱うプロフェッショナルコーチング。個人との契約関係に基づくフォーマルなコーチング。

  • 「ビジネスコーチング」

企業及び組織において、部下や後輩の指導・管理のために活用するコーチング。契約に基づかない点と、二重関係を前提としている点でインフォーマルなコーチング。

  • 「コーポレートコーチング」

企業や組織において、外部の職業コーチまたは社内の専任コーチが提供するコーチング。主に経営者を含む管理職以上の個人を対象に、提供が行われることが多い。企業や組織との間に契約関係があれば、フォーマルなコーチング。

 産業コーチングは性質上、主に「パーソナルコーチング」に該当します。

〈アプローチの大分類〉

  • 「ビーイングコーチング」

クライエントの内面に関わるあらゆるテーマを扱い、自己肯定感の向上や自身の信念・価値観の明確化、目的への葛藤解消などを図る心理支援。

  • 「パフォーマンスコーチング」

クライエントの外的事象をテーマとして扱い、目標の明確化や、本質的な課題発見、選択肢づくり、効果的なアクションの実行などを援助する心理支援。

 上記2つは、一人の人間を包括的に捉えた観点から、両方必要となり相互に作用するとされます。

 ​産業コーチングでは、主に「ビーイングコーチング」に重きを置き、補助として「パフォーマンスコーチング」を統合的に提供することができます。

 ​産業コーチングのアプローチとその背景となる心理学理論については、こちらをご覧ください。

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